
広島県東部に位置する福山市は、人口約46万人の中核都市。
古くから「ものづくりの街」として発展し、特に繊維や染物の産地として名を馳せてきました。
その象徴が、江戸時代から続く伝統産業「備後絣(びんごかすり)」。

天然藍を用いた深く美しい藍色と、独特のかすれ模様が特徴で、主に農作業のための労働着として使用されてきました。

藍色は日本人の暮らしに密着してきただけでなく、今では世界中で愛される「デニムの色」のルーツでもあります。
備後の藍染めは、かつては“世界へつながる色”として大きな存在感を放ちました。
最盛期には 年間300万反(1反=約11m) を織り出す巨大産業へ。
福山市の経済と発展を支える原動力となり、地域の暮らしを豊かにしました。

しかし時代が移るにつれ、安価な海外製品の流入、職人の高齢化、後継者不足といった問題に直面。
かつて数百社あった関連企業は、今ではごくわずかに…。
このままでは、福山の誇る「藍」の文化も消え去ってしまうかもしれない。
そんな危機感が地元に広がっています。

私たちが挑戦したのは、福山の誇りである天然藍と、革職人の技をかけ合わせた新しい挑戦。
それが、「福山レザー」 です。

- 天然藍を使用
- 職人による一枚ずつの手染め
- あえて「色むら」を残し、唯一無二の表情を生み出す
大量生産はできません。

しかし、だからこそ生まれる「世界に一つの革」。
それは、物が溢れる時代にこそ必要な「特別な価値」ではないでしょうか。